Quantum circuit illustration

研究 / Research

量子計算・物性物理・量子情報を中心とした分野とその境界領域で研究を行っています。

量子計算理論 / Quantum computation

量子物理学は原子・分子・電子などミクロなスケールで顕著に現れ、量子重ね合わせや量子もつれなどニュートン力学などの古典物理学にはない奇妙な性質を持ちます。 量子計算および量子情報はその量子特有の性質を最大限に活用した新しい計算手法や情報処理を開拓する研究分野です。 たとえば従来のデバイスでは不可能な超高速な計算や安全な通信の実現が可能となるなど、革新的な量子技術を将来的にもたらすと期待されています。 また、量子系を用いた計算や情報処理の性能の限界を明らかにすることで "量子物理学がどのように特徴づけられるか" という基礎的な理解にも繋がると期待されます。

量子多体系のシミュレーション

量子計算機がその性能を発揮すると特に期待されるのが量子多体系のシミュレーションです。 量子計算機による量子系のダイナミクス・熱平衡状態・固有状態の高速・高精度な計算は将来的に物性物理・量子化学などへの応用が有望視されています。 将来的な誤り耐性量子計算機の実用化において精度を保証しつつ最も高速に量子多体系をシミュレートする量子アルゴリズムの構築が重要な課題となっています。 量子多体系の普遍的な法則や解析手法(Lieb-Robinson限界やFloquet理論など)を援用することで、これまで様々な状況で量子多体系のダイナミクスなどを理論上最も高速に計算する量子アルゴリズムを構築してきました。
(関連論文)

量子アルゴリズム

量子計算機は、量子系のシミュレーションの他にも素因数分解・探索問題・線型方程式問題など一見すると量子物理学に関係のない問題でも高速に解けることが期待されています。 特に近年、これらの量子アルゴリズムは量子特異値変換(Quantum Singular Value Transform, QSVT)という理論手法によって統一的に理解できることが明らかにされました。 これまでの研究では、量子特異値変換で実行可能なタスクの拡大や高速化を目指した新たな手法構築などを行ってきました。
(関連論文)

変分量子計算(休眠中)

古典的な変分法と量子計算機による期待値計算を組み合わせた変分量子計算は、現在-近い将来の数十から数百量子ビット級でノイズのある量子計算機である NISQ (Noisy Intermediate-Scale Quantum) デバイスの実用的な応用として期待されていました。 変分量子計算を用いることで効率的に量子多体系のエネルギー固有値やダイナミクスを計算する手法の研究を行っていました。 なお現在は将来的な誤り耐性量子計算機を想定した量子優位性のある量子計算手法が重要と考えており、変分量子計算の研究は行なっておりません。
(関連論文)

非平衡物性物理 / Nonequilibrium physics

光を照射された物質など熱平衡状態にない系を非平衡系と呼びます。 非平衡系は従来の統計力学の枠組みを超えた新たな物性現象の舞台であると同時に、動的な外場による自在な物性制御の実現も期待されています。

量子多体系の非平衡制御

量子多体系の正確かつ自在な制御は量子デバイスの実現において重要な課題の一つです。 特に量子系に動的な外場を印加した非平衡状態下でどのように制御できるかが盛んに研究されています。 これまで、パルスなどの時間周期的な外場による有効ハミルトニアンの制御法の提案などを行いました。 また近年では量子信号処理など量子計算理論で発展してきた理論手法に基づいて量子多体系を自在に制御する手法の構築にも力を入れています。
(関連論文)

周期駆動非平衡系(Floquet系)の物理

光を照射された物質などハミルトニアンが時間周期的に変化する系を Floquet 系と呼びます。 近年では量子ゲートを繰り返し印加した量子シミュレータも Floquet 系の一種として着目されています。 Floquet 系では従来的な時間に依存しない量子系には存在しない新たな物性現象の実現が期待されています。 これまで、時間結晶(非平衡系固有の自発的対称性の破れ)や量子スカー(非可積分系における熱化の回避)などの Floquet 系における物性現象の実現法の提案を行いました。
(関連論文)

募集 / Join Us

学生の受け入れ / For Students

所属する大阪大学量子情報・量子生命研究センターでは現時点で学生の受け入れを行なっておりません。 ただし、正規の指導ではありませんが、水田が現在参画するプロジェクト

(2026年度-2030年度)
JST ムーンショット目標6 御手洗PJ 「誤り耐性量子コンピュータのアプリケーション研究開発」 [Link]

では学生のリサーチアシスタント(RA)を募集する可能性があります。 ご興味を持たれた方は水田までご相談ください。

ポスドクの受け入れ / For Postdocs

上記の研究テーマに限らず量子計算・物性物理・量子情報を中心とする分野でポスドクを受入したいと考えています。 ポスドクから分野を転向して上記に関連したテーマをやってみたいという方も歓迎します(実際、水田も物性物理で修士号,博士号を取得しましたが、ポスドク以降で量子計算に転向しました)。


ポスドクの受け入れ可能な制度としては、自身で申請して研究費を獲得する

日本学術振興会 特別研究員(学振PD) [Link]

があります。毎年5月に募集があるので希望される方は3月を目処に水田までご相談ください。
そのほかには、水田が現在参画するプロジェクト

(2026年度-2030年度)
JST ムーンショット目標6 御手洗PJ 「誤り耐性量子コンピュータのアプリケーション研究開発」 [Link]

でもポスドクを募集する可能性があります。 こちらはプロジェクトの性質上大まかにその目標に沿った研究を行っていただくことになりますが、ご興味を持たれた方は水田までご相談ください。