ノート
量子計算
量子特異値変換
量子特異値変換(Quantum Singular Value Transformation, QSVT)は、行列の各特異値を多項式変換する演算子を作用する量子アルゴリズムです[1]。 量子特異値変換は Grover 探索や量子多体系のハミルトニアンシミュレーションなど現在の重要な量子アルゴリズムの多くを統一的に記述することから "量子アルゴリズムの大統一理論" と呼ばれています[2]。 加えて、多くの量子アルゴリズムに対し最適なクエリ複雑性(計算時間に比例)を与えることも知られており、将来的な量子計算機における最も標準的なアルゴリズムとなることが期待されています。 本ノートでは Refs. [1,2] の内容を中心に量子特異値変換について日本語でまとめています。
[1] A. Gilyén, Y. Su, G. H. Low, and N. Wiebe, STOC 2019, pp. 193–204 (2019).
[2] J. M. Martyn, Z. M. Rossi, A. K. Tan, and I. L. Chuang, PRX Quantum 2, 040203 (2021).